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ヴァラノワールよりシュウとネージュの話。
これも途中まで書いて放置していたものです。
探せば出てくる出てくるorz
ヴァラノワールはそれまでのネバーランド世界をぶち壊すほどの世界観でしたが、ゲーム自体は、というか、キャラはとても好きです。ソウルズでは皆ミュウフリークになっている傾向がありますが、ヴァラノワール時代は、嫌っている人もいれば無関心な人もいる。ミュウも思い切り悪態ついたり怒ったりするんですよね。けれど、そのキャラとミュウが仲良くなっていく過程がしっかりしているのでなるほどなと思う。何せ、好感度上げるために何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も(以下略)ダンジョンに行きました…。しかもお目当ての相手が出るまでひたすらリセットリセットリセットリセットリセットリセ(以下略)おまけに場所も条件として入っているし、期限も設けられてるし、それら全部クリアして、やっとイベントが見れる!
……この苦労があればこそ、説得力があるってもので。
しかしソウルズは何となくその苦労を越えて繋がった感じがあんまり見受けられない…。
ミュウは誰にでも優しいけれど、言葉に重みが感じられない。凄く真摯な言葉を言うのだけれど、いい子だな、と思うときもあるのだけれど、その言葉がそれこそ、『製作者の都合で全ての良い台詞を言う役になっている』という感じがしてならない。言動に奇妙なちぐはぐ感があるから。

色々思うところはあるけれど、ヴァラノワールは好きです。すさまじくめんどいけど。




 休み時間、シュウが所用をすませたあと教室に戻ると、女生徒達が何やら騒いでいた。特に興味もなかったが、彼の席は彼女達が集まっている場所の近くなので、席に戻れば自然と会話が聞こえてくる。
どうやら雑誌の占いで騒いでいるようだった。
今週の運勢は、ラッキーカラーは、アイテムは。
当たりもしないもので騒ぐなんて、気楽なものだ、と思いつつも、最近はそれくらいのゆとりと賑やかさがあってもいいかな、と考えるようになっていた。
 そんな自分に、シュウは内心小さく笑った。随分と自分も変わって来たなと。
 「あっ、ねぇねぇシュウ、シュウの誕生日っていつ?」
 「え?」
 女生徒の輪の中にいた赤毛の少女が人懐こい笑顔を向けてきた。
 「この雑誌の占い、すっごく当たるんだよ! ボクとネージュは今週、恋愛運がいいんだよね」
 「ミュウの方は素敵な出会いがあるって。どんな出会いかしらね?」
 隣の藤色の髪の委員長に寄り添い、本をながめる。委員長のネージュも楽しそうに笑う。
 「でもミュウは金運が悪いよねぇ。落し物に注意だって。ミュウの場合、落し物だけじゃなく忘れ物も多いからなぁ~」
 しみじみと首を振りながらナギがいうと、ミュウはぐっと黙り込んでしまった。
 「それに素敵な出会いがあっても、それ以上へ発展させるのに、まだまだミュウじゃ経験不足でしょう。せいぜい、お友達、くらいでしょうね」
 追い打ちをかけるようにノルンも頷く。
 「あぁっ! 二人してひっどーい!」
 「本当のことじゃん」
 「ねぇ」
 「ガーン!」
 親友達は顔をあわせて頷きあう。ミュウはショックを受けたように両手を頭にあてた。
 そのあまりにも息のあったやり取りに、シュウは笑いを零す。
 「まぁ、何事も地道に一歩ずつというしね。友達からだとしてもまったく知り合わないよりはいいんじゃないのかい?」
 「そうだよね! いいこと言うなぁーシュウは! さっすが副委員長!」
 「だから、地道に一つずつ、忘れ物もなくせるように努力してほしいな」
 「うぐっ」
 切り返しの鋭いツッコミに、再びミュウが黙りこんだ。先ほどナギも言ったように何もいい返せない程の忘れ物の常習犯だからだ。クラスでも一、二を争うほどである。
 「ネージュの方は意中の相手がいる人はアタックするといいってさ。いない人は出掛けた先でいい人に会えるかもだって」
 「ネージュって誰か好きな人いるのかしら?」
 「えっ」
 「!」
 問い掛けられた言葉に素直に反応するように頬が赤く染まった。その様子に、質問をしたノルンの眼鏡の奥の瞳がきらりと光る。椅子に座って見上げていたナギも、にやりと意地の悪い笑みを浮かべた。
 そして、シュウも思わず首を巡らせた。見れば彼女は、ほんのりと赤く染まる頬に片手をあて、眼の前にいる級友から視線をそらしている。
 「やだ、そんな人は……」
 「いないの?」
 「好き、じゃなくても気になっている人はいるんじゃないの?」
 「え、えと……」
 じりじりと追い詰めるように迫るノルンとナギにネージュはおろおろと赤くなりながら後退りをする。
 ネージュは押しに弱い。口が達者で押しの強い二人に迫られては一溜まりもない。そして実際、首を巡らせ、ネージュたちを見たシュウに気がついて、半分泣きそうになりながら助けを求めていた。
 「……ノルン、ナギ」
 「え?」
 「なんだい、シュウ?」
 務めて平静に、シュウは二人を呼ぶ。
 「次の授業の予習はやってきたかい?おそらく、今日当たるのは君たち辺りだよ」
 「えぇっ? マジ?! アタシやってない!」
 「あら、私は大丈夫よ。教科は得意分野だから」
 そんなことで話をそらそうとするなと言わんばかりの視線をノルンはシュウに向けるが、シュウはそれを受けても何事もないように笑う。
 「ノルン、やってるんならお願い、見せて!」
 「せっかく面白いところだったのに、まったくしょうがないわねぇ。今度ジュースおごってよね?」
 「恩にきる!」
 しかし矛先を収めてノルンはナギにノートを見せるべく席へ戻っていった。
 「……ありがとう、シュウ」
 ほっと胸をなでおろし、解放されたネージュはこっそりシュウに告げる。
 「……別に礼を言われるほどのことじゃないさ。事実を告げただけだからね。……そうだ、ミュウ、君も多分当たるよ」
 「えっ? ボクも?」
 「ああ、ナギとノルンが当たるとなると、いつも共にいる君たちだから、おそらく試験官は一緒くたにして当てるだろうね」
 「ええぇえーっ! そんなぁ! ちょ、ノルン、ノルン! ボクも見せてー!!」
 ふって湧いたような話に慌てふためいて、ミュウは友人たちの元へと走っていった。どうやら彼女もやっていなかったらしい。
 「………………ふふっ」
 「……どうしたんだい?」
 その後ろ姿を見送って、不意にネージュが笑いをこぼした。
 「うん、ちょっと前まではあんなふうにノートを見せ合う、なんてこと、する人は少なかったなぁって思って。……いい傾向だな、って思うの」
 「……そうだね。馴れ合いすぎるのはまずいとは思うけれど……それでも親しくすることは悪いことじゃないと、僕も思うよ」
 自分たちの置かれている状況を考えると、あまり馴れ合うことはよい結果を産まない。けれど、周り全てを敵として拒絶し、相手を蹴り落とすことが正しいとは言えない。
 今までは、そうせねば、期待を背負い、夢を抱いていたならば、先へは進めないのだと頑なに思っていた。
 赤い髪の彼女はその型にはまらなかった。そして彼女の行動は、当たり前に知っていたことを思い出す切っ掛けになってくれた。
 「……あんな風に、行動を起こせたら、いいのに」
 「え?」
 「……少し、憧れるわ、ミュウに」
 苦笑めいた表情は、少しばかり暗い影を落としている。ネージュは時折、こういう自虐めいた顔をすることがある。それはシュウも気になるところだった。
 「……僕としては、君まで彼女のようにトラブルメーカーになってはほしくないけれど」
 「まぁ、ふふっ」
 視線を外し、顔を隠すように眼鏡をあげる。ネージュはその台詞に今度は陰りのない笑いを見せた。
 「そういえば、シュウは何月生まれなの?」
 「え?」
 「さっきの雑誌の占い」
 「……僕はあまりそういうものは信じないのだけれど」
 そう前置きしてから、シュウは自分の誕生日を言った。ミュウが置いていった雑誌の占いページを見て、ネージュがそれを読みあげる。

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