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煮詰まると別なことを書きたくなる。これを逃避と言う。
……駄目やん!
ともあれ、ふつふつと湧いた創作意欲をぶつけてみる。
ミュール×ネーブルです。
1030年より数年後。二人とも成人はしている、という設定。
一緒に旅をしているけれど、付き合っているわけじゃないという物凄く微妙な関係。
二人の組み合わせが駄目だ、と言う方は『続きを読む』をクリックしないようお願いいたします。
取り合えず途中まで。

 「どこに行くつもり? ミュール」
 その、背後から聞こえた、いつもよりも随分と低い声にミュールはぎくりと全身で驚きを示した。油の切れたブリキの人形の如く、きしむように後ろを振り返ると、目の据わったネーブルが腰に手を当てて立っていた。
 「……よ、よぉ、は、早起きだなぁ、ネーブル」
 時はまだ日も昇らぬ早朝。薄暗い宿屋の廊下で、ほの明るい空の見える窓を背に立つ彼女は、正直怖いとミュールは思ったが、本人には言えない。ぎこちない挨拶と作り笑いで誤魔化そうとするが、そんなもので誤魔化される相手でないと分かっている。分かっているが、せずにはいられなかった。
 「ミュールこそ、ここ最近、ずっとそうよね」
 笑顔が更に引きつる。気がつかれていたのか、と内心慌てふためく。ネーブルはそんなミュールの心境を察してか、追求の姿勢を崩さない。
 「いや、うん、ちょっと早朝の散歩を……」
 「いつからそんなに健康的なことするようになったの?」
 「うっ」
 痛いほどの視線に、ミュールは冷や汗が流れた。言い淀んでいると、不意にネーブルがため息と共に肩を落とす。
 「………………私に言えないこと?」
 「え、あー……その」
 更に口篭る態度は、言えないことだと表しているようなものだった。それに彼女は寂しそうに目を伏せる。
 「……この街についてから、何だかおかしいよ、ミュール。……もしかして、一緒に旅をするの、嫌になった?」
 その突然の発言に、ぎょっと目を剥く。そしてほとんど勢いでミュールは身を乗り出した。
 「ちがっ!!! 馬鹿、何言ってんだよ、違うって!! 嫌なわけねぇだろ!!」
 全身で、全力でネーブルの言葉を否定する。彼にとってその言葉は現状では絶対にありえないからだ。むしろその逆だと言うのに。
 「でも、私に黙っていなくなるじゃない。……誰にだって一つや二つ、言いたくないことあると思うけど、こう何日も続いてたら……」
 「………………すまねぇ」
 確かに疑われても仕方のない行動をしていたとミュール自身も思い返して反省する。けれど、なるべく秘密にしておきたかったのだ。
 「謝らないで。謝るんだったら、何をしていたのか聞かせてよ。……どうしても言えない、って言うなら……」
 「いや、あーうー、何つーか、そのー……」
 寂しさの表情の中に僅かな怒りをにじませているその顔は苦手だった。昔だったら売り言葉に買い言葉で喧嘩に発展することが多かったが、今回の場合はとにかくミュールは自分の行動が後ろ暗かった。けっして悪い、やましいことをしているわけではないのだが、知られることが恥ずかしい。けれどもこのまま黙っていては、要らぬ心配をネーブルに掛け続けるだけでもある。『お前には関係ない』とは言えないことでもあるのでなおさらだった。
 しばらくの間、悶え苦しみながら悩みぬき、ミュールは一人で覚悟を決めて自分自身を納得させた。こうなれば出たとこ勝負である。
 「……ちょっと、な、この街の近くにある古代遺跡にさ、その、珍しいお宝があるってんで、探してたんだよ」
 「……古代遺跡って、あの、結構前に発見されたけど、深くて広くて、未だ踏破した人がいないって言う、あの遺跡?」
 「そ」
 「じゃあ、私も連れてってくれればいいじゃない! 一人で遺跡探索なんてずるいよ!」
 冒険者としての血が騒ぐネーブルは、純粋に置いてけぼりを食っていたことに腹をたてた。
 「いやそうなんだけどさぁ、何だ、お宝見つけてお前を驚かそうと思って、さ」
 「それで一人で隠れて行ってたの?」
 「まぁ、そんなとこ」
 苦笑いをしながら頭をかくと、ネーブルは少し不機嫌そうな顔をして、再び腰に手を当てる。
 「それくらいなら教えてくれても良かったのに! そりゃ、レアアイテム見るのは好きだけど、自分で探して見つけ出すのも私、好きなんだよ!」
 「分かってたけど、今回は、そうしたかったんだって」
 「もう! ……じゃ、今日から一緒に行っていい? もう秘密じゃなくなったんだし、一人で探すより二人で探した方が効率いいし!」
 「言うと思った……しゃーねぇ! 一緒に行くか!」
 「しょうがないって何よー!」
 やけくそ気味なミュールの発言にネーブルは再び眉を吊り上げる。
 しかし朝早くから、宿屋の廊下でのこのやりとりは、後に他の宿泊客や宿屋の主人から怒られることになった。

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